『はたらく魔王さま!』 第8話を振り返る

久しぶりに振り返り企画。企画?企画なのか…?

今回は『はたらく魔王さま!』の第8話。

 

これ、あれですね。めっちゃ面白かった回ですね。自分で回した話数の中で1・2を争うくらいに好きな回です。

えーっと、確か最初は自分が進行やる予定じゃなかったです。もうちょっと後の話数の予定だったけど、色々あって繰り上げになりました。自分のコンテ見たら、表紙のスタッフリストには別の進行の名前が書いてありますしね(笑)

まぁ、結果的にはちーちゃんが告白するという大事な回をやらせてもらえて有り難い限りでした。

 

コンテは岩畑さんで、ちーちゃんの告白シーンはけっこう細田監督の手が加えられています。この作品全般に言えるのですが、表情いいなーってとこは、コンテなりL/O上がりのチェックなりで監督の手が加えられていたり。この作品の魅力ってやっぱり細田監督の画的なセンスですよね。

カット数は240cutくらいで割と少ない方でした。ただ、その分、尺が長めの芝居が多いので楽になるわけじゃないんですけどね…。ただ、この話数は冒頭から食事シーンをひとまとめで作監の又賀さんがL/Oを切ってくれたので、本当に助かりました。室内・食事シーン・キャラが多い…という難しい要素ばかりなシーンでしたが、さすがとしか言いようがなかったです。この食事シーン、地味に大変なのでぜひ注目して見て下さい。又賀さんは冒頭100cutほどの作監を担当していただきました。

演出は平向さん。女性らしい非常に細かいところに気を配る芝居をさせていただきました。最近だと、あれですね。『WORKING!!!』の3話めちゃめちゃよかったですね。ただ、魔王さまの8話はスケジュールの関係で、中村和久さんに演出のヘルプに入ってもらってます。テロップには載っていないですが。本当に有り難かったです。

ちーちゃんの告白カットは又賀さんの素敵な修正と、これまた中村さんが素敵に2原を担当してくださいました。これもノンテロですね、そういえば。

あ、そうだ。魔王さまは舞台が実際にあるので、ロケハンしに行って写真撮りまくってきてます。写真L/O使ったカットもあったような。ちーちゃんの告白シーンなんかも、笹塚駅からちょっと歩いて住宅街に入ったところにあるので、わかる人はわかるかも?あ、でも既に聖地巡礼マップとかあるか…。

笹塚駅の恵美と鈴乃の口論シーン、後ろでうさぎが餅つきしてるカットがあったかと思いますが、あれは一応、“お付き合い”と“(餅を)つきあっている”というつきあいをかけているらしいです。言われなきゃわからんかった(笑)

カフェのシーンは、某新宿のスタバですね。外観は参考にして店内は適当です。見取り図とか作ったなー。恵美がコーヒーの蓋を開けて、ガムシロップを開けて、うっかりこぼしてしまい、ナプキンでトレーを拭くのです。これだけで細かい芝居が面倒くさいのですが、鈴乃がそれを真似するんですよね。しかも、わざとガムシロップをこぼして軽くガッツポーズをするというオマケ付き。ぐえー!って感じのコンテです(笑)。ここは河田さんが丁寧に原画をしてくださいました。有り難いです。

で、猿江が登場。この猿江というキャラが個人的にすごい思い入れがあるんですが、またどこかで書けるといいなー。

 

そんな感じですかね。案外、覚えてるもんですね。

はたらく魔王さま!』は大変でしたけど、本当に楽しい作品でしたね。自分が回していた話数なのに、改めて色ついたのを繋げて見ると「あ、面白いなー」って思ったりしたものです。今でもたまに見直すくらいですし。

素敵な作品に携われたことに感謝感謝です。アニメって楽しい!と思わせてくれる作品でした。まぁ、大変でしたけどね…(しみじみ

 

また気が向いたら何か書きますー。

今日、思い出したこと

今日、思い出したことがあります。

 

ちょっと前に、お世話になっていた撮影さんとメシに行った時のことです。

「(同じ会社で働いてる)◯◯さんってご存知ですか?コミケで知り合いのアニメーターさんのブースに行くとよく会って、仲良くさせてもらってたんですよー。最近は会えてなかったんですが、元気ですか?」

と何の気なしに聞いたところ、

「あぁ、◯◯さんならお亡くなりになられましたよ。けっこう前に」

と。

あの時、初めて言葉を失うって経験をした気がします。

だって、会った時はあんなに元気そうにしていたんですよ。

Twitterなんかでもよく他愛もないことで絡ませてもらってて、入院したのも知ってはいたのですが、元気そうだったので大したことがないもんだと勝手に思い込んでいました。

今思えば、いつの間にかツイートが途切れたところで気付くべきだったのかもしれません。

 

基本的に、ツイートをしないアカウントはばっさばっさとフォローを外してしまう自分ですが、どうしてもその方のアカウントだけはフォローを外せないのです。

外してしまうと、本当に存在が消えてしまうようで…

 

やっぱり、同業者の方の訃報というのはツラいものがあります。

そもそも人間らしい生活を送ることが難しい仕事でもありますし、自らの寿命を削って仕事をしている感覚すらあるので、早死にすることになんら違和感はないのですが、それでも、明日は我が身だという恐怖があります。

そして、冷静に考えて、命を削ってまでする仕事なのか?と。

命を削って作った作品が時には酷評され、時には見向きもされず、ただただ消費されるものとなってしまう。

身を削り、そんな悲しい思いをしてまでアニメって作るものなのでしょうか?

…これは考えだしたらキリがないことですし、考えてもどうしようもないことではあるのですが、どうしても体調を崩されたりお亡くなりになられた話を聞くと考えてしまうのです。

 

きっと、それでもみんなアニメが好きだから携わっているんでしょうね。

自分は…どうなんでしょう?わかりませんが。

 

特にオチがあるわけではありません。

まぁ、こう思いながらアニメ作ってる人もいるんですよー、と思っていただければそれでいいです。

 

この話は心に秘めておこうと思ったのですが、今日の件もあってなんとなくこれは残しておかないといけないような気がしました。

 

今さらで申し訳ないのですが…心よりご冥福をお祈りします。

『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』を振り返る

なんとなく部屋の整理をしていたらコンテを見つけたので。

不定期で自分が担当した話数の振り返りとか書けたら面白いですね。

まぁ、備忘録的な意味も込めて。

 

そんなわけで、『劇場版 STEINS;GATE 負荷領域のデジャヴ』。

自分はアバン+OPとCパートの制作進行を担当しました。

あ、イベント行ったレポとかブログに書いてましたけど、こう見えてもアニメ作りに携わってるんですよね。

 

それはさておき、 アバンとOPはコンテ演出が若林さんで作監が坂井さんでした。

…と言っても、アバンは総監督の佐藤さんのフィルムと言っても過言じゃないかもしれません。

佐藤さんが撮ってきた実写映像を加工して使ったりしていましたね。インサートのタイミングなど、バッチリと佐藤さんが決め込んでいました。

それと、アバンの幼少期キャラも佐藤さんがL/Oから原画までやっています。元々はアニメーター出身の方だったので、流石でした。後にも先にも自分が佐藤さんの原画を見たのはこの時だけでしたね。

 

OPは相馬さんのCG様様ですね。

 

Cパートはコンテ演出が小林さんで作監が竹田さん、作監補佐に山下さんでした。

Cパートは紅莉栖がタイムリープしてBBQのところに戻るところ~紅莉栖が走ってラボに戻ってきて、ラボメンが岡部のことを忘れてしまうところまで258cut(くらい?)です。カット数はさほど多くないですが、尺を使ってきっちりと芝居をさせているので割と大変でした。苦悩だったりキスシーンだったり紅莉栖の走りだったり、見せ場盛りだくさんでしたしね…。

アバン・OPよりCパートの方が先に作業inでした。確か、自分がヨルムンガンドの最終話をやっている途中にスタートした記憶が。

御存知の通り、シュタゲは秋葉原を舞台にしている作品だったので、まず自分は何をしたかというと、休みの日に一人で秋葉原まで写真を撮りに行きました。コンテの絵面を参考にしながら、同じ構図の写真を何枚も何枚も撮りました。まるで聖地巡礼ですね(笑)。結局、その写真がそのまま写真L/Oとして使われることは一切無かったですが(苦笑)。ただ、原画さんや美術さんにはその写真参考を渡して作業してもらったので、多少はスムーズに作業してもらえたはず…(?)。あ、ラボ内はテレビシリーズの頃からCGが組んであるので、今回もCGL/Oでしたね。

原画は、山田有慶さんの原画に作品への愛がこもりまくっててすごかったです。ラボ内での岡部と紅莉栖と鈴羽の会話シーンをやっていただきました。今はデレマスの総作監やられていますね。

紅莉栖が秋葉原の街をひたすら走る一連は森賢さんですね。エフェクトやメカのイメージですが、アクションも非常に達者な方です。

 

なんか色々思い出しながらコンテをパラパラめくっていたら、そういや、キャラのケータイみんなまだガラケーですね…。あれ?ダルだけスマホだっけ?もう覚えてないや…

 

シュタゲはテレビシリーズも見ていて楽しんでいたので、自分のパート以外のストーリーはできるだけ見ないようにしていたのですが、いざ見てみると、自分のパートのラスト紅莉栖が「そこで私は決心した」というセリフがあったのですが、その後のDパートで即諦めていたのにはなんか笑いました…

 

何が大変だったのか…とか、もはやよく思い出せないのですが、やっぱりどの作品をやってもスケジュールには追われますよね。そうでもなきゃ、大晦日に回収とか行きませんし(笑)。

あと、テレビシリーズの回想をよく使用したので、劇場用にテレビシリーズのカットを再撮影しなきゃならなかったんですよね。あの2クール分の膨大な素材から回想で必要なカット袋を探すのがかなり大変だった記憶が。

「劇場版」ということで、劇場に相応しい原画さんを探さなきゃ!というプレッシャーがあったのもけっこう辛かった気がします。まぁ最終的にはそんなこと言ってられなくなったんですが(笑)。演出・作監総作監様様です…。

 

まぁ劇場版とは言っても、テレビシリーズと同じサイズのL/O用紙を使用していたので、劇場版というよりはOVAスペシャル的な感じなのかもしれないですけどね。

とはいえ、自分にとっては最初で最後の劇場作品でしたし、なんだかんだで思い入れもある作品です(結局、試写も行けなかったですし、劇場にも観に行けなかったですが…)。

 

どうでもいいですが、年を跨いで原画の回収をしていたので、大晦日の朝まで原画さんの家の前に張り付いて原画を回収して、そのままコミケ向かいましたね。しかもサークル参加してたからそのまま徹夜で売り子していたような…。

で、ちょうど自分のパートに参加してもらっていた原画さんが隣のサークルだったのが面白かったです。事前にわかっていたので、「コミケまでには終わらせましょう!」とか言いながら追っかけしていたような(笑)。最後の回収を終えたら、「じゃあコミケで会いましょう!」って。あ、大晦日の朝に回収した原画さんとは別の方ですが。コミケのアニメーター島ってわりとそういう知り合いがいるのが面白かったりします。

 

…ざっくりとこんな感じですかね。

また思い出した時にでも別作品のことでも書けたらいいですね。