アニメの制作進行に車での外回りは必要無いのか?

最近、「車両協力」なんてクレジットをよく見かけるようになりましたが、これは、車での外回りを進行が行うのではなく、外部に委託している形ですよね。アルファロードだったり小松通商だったり赤帽だったり…。必死こいて眠気と闘いながら外回りをしてきた身としては「楽でいいなー。外回りが無いなんて羨ましい」と思うのですが、その直後に「あれ?本当に楽になってるのか?」とも思うわけです。

 

というわけで、今回は『制作進行に車での外回りは必要無いのか?』というお話をちょっぴりと。

 

そもそも、なぜ「楽でいいなー」と思うのかというと、外回りの仕事が進行の中でも時間がかかる仕事の内の一つだからです。個人的に制作進行の時間がかかる仕事といえば…

・スキャン(原図スキャン・線撮スキャン)

・タップ貼り替え

・外回り

あたりでしょうか。字面だけだと地味でそんなに大変そうに見えないのがこれまた…。

 

スキャンと言うと、自分が元いた会社なんて優秀なソーターが無かったので、一枚一枚スキャン台に入れてスキャンしてましたからね。生の素材をソーターにかけて一気にスキャンしようとすると、詰まったときに紙がぐちゃぐちゃになってしまい、素材を駄目にしてしまうことがあるので、よっぽど優秀なコピー機じゃないと怖いのです。これはまた別の話で。

 

タップ貼り替えは、アナログ作業がある以上、永遠に必要な作業な気がするので仕方が無いです。個人的には拡大作画用の拡大コピーからのタップ張り替えが割と面倒くさかったですね。最近だと、原画さんがデジタルで作画されたものを演出・作監さんがアナログでチェックする場合は全て紙で出力しますよね。これがまた面倒臭い。デジタル作画がオールデジタルでチェックできる環境で無い限りは意味が無いと言われている理由のうちの一つな気がします。

 

そして、やっぱり外回り。車を運転して東へ西へ。原画さんが「この時間に上がり出すから」と言われたら、それが深夜だろうが早朝だろうが、東村山だろうが新座だろうが「No」と言わずに回収へ行くのが進行の仕事。いや、「その時間は勤務時間外なので、明日、出社したところで回収に伺います」と言うこともできるのですが、そうすると原画さんには「急ぎで回収に来ないってことは、この話数はまだスケジュールに余裕があるってことか。なら作業は後に回そう」と思われてしまうのです。人によっては「こっちが必死こいてこの時間に終わらせようと作業したんだから、早く取りに来いよ!」なんて怒られることもあります。

もちろん、原画さんだけではなく、ここに動画入れ・仕上げ入れ・撮影入れなどの素材のやりとりも外回りに入ってきます。これが複数話数掛け持ちになると、もうてんやわんやです。外回りしているだけで一日が終わってしまい、デスクワークが深夜から…なんてことも多々あったり。

 

…あれ?外回りが無いほうが良いじゃん!と思うでしょう。

しかし、外回りで何より大事なのが『原画さんと直接会って話す』というところなのです。電話ではわからない相手の表情や状況、直接会って表などを提示しながらのスケジュールの話、そして仕事とは関係の無い他愛のない話。これらが、原画さんとの信頼関係を生むのだと自分は思っています。この信頼が次の仕事に繋がっていくんですよね。電話のみのやりとりで信頼が生まれないとは言いませんが、電話より直接会った方が圧倒的に得られる情報が多いです。進行は人と人との繋がりが肝な仕事なので、この繋がりと信頼が色々な人と強くなればなる程、スーパー進行になっていきます。

そして、時間のコントロールです。外回りが無いということは「この時間に回収業者さんが向かうので、そこまでに上がりを出しておいてくださいね」という時間のコントロールをしていかないといけないのです。芸術家気質である原画さんの時間のコントロールほど難しいものはありません。それを何人も合わせて行わないといけないなんてあまり考えたくないものです。それなら、上がりを待って自分で行った方が早いです。

そしてもう一つ。外回りで外に出ることが息抜きにもなるんですよね。外回りが無くて、状況が切迫している息苦しい現場に一日中居たいでしょうか?自分は嫌です。精神的に参ってしまいます。それならば、車内で好きな曲流して大声で歌いながら外回りしてストレス発散したいです。目に見えないですが、こういったストレスの捌け口にもなっているのではないでしょうか。

肉体的というより、精神的な話ばかりでしたね。つまり、外回りとは『肉体を犠牲にして精神的なアドを得る』のです。

 

つまるところ、「車での外回りには一長一短ありますね」って話です。そりゃそうだ。ただ、必ずしも、外回りが無いことが進行のためになるかというと、そういうわけではないのです。外回りが無ければ進行って楽になるんでしょ?というのは安易な考えです。

個人的には、やっぱり進行って人との繋がりが最も重要だと思っているので、外回りって必要だな、と思うのです。そういう考え方で教わってきたというのもありますが。

 

とはいえ、外回り中の交通事故のことを考えると外回りを排除したくなる気持ちもわかります。自分も事故を起こしてしまったことがありますし。その時は物損と廃車のみで済みましたが、人を轢いてしまった事例も実際に見ているだけに何ともかんとも…。某社はあまりにも事故が多すぎるからという理由で外回りが外部委託になったと聞きますし。

 

結局、社内にいる原画さんだけでその話数が済んでしまうなら、それに越したことはないんですよね。あとは動仕撒きと撮入れくらいですし。動仕や撮影も社内にあれば最高ですが。そういう作り方ができるのが進行としては一番楽。そんな作り方をしてみたいものです。

 

まぁ、これは個人的な見解なので、もちろん、別の考え方もあると思います。考え方は人それぞれ。自分のやり方に合った会社で働けるといいですよね。

2015年のイベント

なんとなく。昨年(2015年)行った思い出に残ってるイベント。

 

■μ's Go→Go! LoveLive! 2015 ~Dream Sensation!~

演者さんのダンスを映すカメラワークとアニメのダンスの映像が一致していてすごかった。

 

■DVD『フレンズ~大空直美&藤井ゆきよ&照井春佳~』発売記念イベント

本編映像よりただトークしてるだけが一番楽しいという。オフレコ!のイベントまだかしら。

 

■P's Live! 02 ~LOVE&P's~

今年やらないのかしら。

 

■TVアニメ「結城友奈は勇者である」トーク&ライブイベント「満開祭り」

再編集された映像への生アフレコは鳥肌。ともよちゃんの弾き語りもすごかったねー。

泣けるイベント。

 

■Haruka Terui Autograph session in SAKURA-CON 2015

日本じゃ考えられないなんでもござれのサイン会。行ってよかったシアトル。

 

■マチ★アソビvol.14 1日目 コエスタ サイン会 5/3(小澤亜李)

徳島いいところよね。

 

■Tokyo 7th シスターズ 1st Anniversary Live 15'→34' H-A-J-I-M-A-L-I-V-E-!!

熱いライブ!なんか泣いた。

 

■やまけんと前田登の13日の××曜日 第18回(小澤亜李ゲスト)

アーカイブ残らないだけあって、割と普段聞けない感じの話聞けて楽しかった。

 

■TVアニメ「ローリング☆ガールズ」ロリガ・ロック・エクスプロージョン!

ロリガイベの集大成感あった。花守ゆみりカバーの『夕暮れ』が今思い出しても泣ける。

 

■「SEASIDE SUMMER FESTIVAL 2015」~トークショー・夕方の部~

『巽悠衣子 無償の愛』で検索。

 

■マチ★アソビvol.15 Tokyo 7th シスターズ 野外ライブ

生バンド!!

 

■ケイオスドラゴン 赤竜戦役 第一夜 Blu-ray&DVD発売記念インストアイベント 

みでし感あったネ。楽しかったけど、DVD発売記念イベで各店舗やるのはそろそろ止めて欲しい感。なんか苦肉の策な感じしかしないよね…

 

■『響け!ユーフォニアムスペシャルイベント

生で吹奏楽が聴ける貴重なイベント。

 

■「中央大学 白門祭」内 青二祭(11/1)照井春佳トークショー~ソロでも全力がんばるにゃす!~

圧倒的ぱるにゃす。イベント終了が押しまくったのも含めて楽しかった。

 

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 - Power of Smile - DAY2

「ぱるにゃすよかったね…よかったね…」ってつぶやくだけのbotになる。

 

鷲崎健 1st ワンマンライブ<東京公演>

ギター持たずに歌うわっしーが新鮮。合間のトークもさすが。

 

※【開催日順】

 

やっぱ一番印象が強いのはSakura-Conのサイン会ですかねー。シアトルまで行きましたし。

昨年行ったイベント数、190くらいですってよ、奥さん。

今年はイベ減してます。

『はたらく魔王さま!』 第8話を振り返る

久しぶりに振り返り企画。企画?企画なのか…?

今回は『はたらく魔王さま!』の第8話。

 

これ、あれですね。めっちゃ面白かった回ですね。自分で回した話数の中で1・2を争うくらいに好きな回です。

えーっと、確か最初は自分が進行やる予定じゃなかったです。もうちょっと後の話数の予定だったけど、色々あって繰り上げになりました。自分のコンテ見たら、表紙のスタッフリストには別の進行の名前が書いてありますしね(笑)

まぁ、結果的にはちーちゃんが告白するという大事な回をやらせてもらえて有り難い限りでした。

 

コンテは岩畑さんで、ちーちゃんの告白シーンはけっこう細田監督の手が加えられています。この作品全般に言えるのですが、表情いいなーってとこは、コンテなりL/O上がりのチェックなりで監督の手が加えられていたり。この作品の魅力ってやっぱり細田監督の画的なセンスですよね。

カット数は240cutくらいで割と少ない方でした。ただ、その分、尺が長めの芝居が多いので楽になるわけじゃないんですけどね…。ただ、この話数は冒頭から食事シーンをひとまとめで作監の又賀さんがL/Oを切ってくれたので、本当に助かりました。室内・食事シーン・キャラが多い…という難しい要素ばかりなシーンでしたが、さすがとしか言いようがなかったです。この食事シーン、地味に大変なのでぜひ注目して見て下さい。又賀さんは冒頭100cutほどの作監を担当していただきました。

演出は平向さん。女性らしい非常に細かいところに気を配る芝居をさせていただきました。最近だと、あれですね。『WORKING!!!』の3話めちゃめちゃよかったですね。ただ、魔王さまの8話はスケジュールの関係で、中村和久さんに演出のヘルプに入ってもらってます。テロップには載っていないですが。本当に有り難かったです。

ちーちゃんの告白カットは又賀さんの素敵な修正と、これまた中村さんが素敵に2原を担当してくださいました。これもノンテロですね、そういえば。

あ、そうだ。魔王さまは舞台が実際にあるので、ロケハンしに行って写真撮りまくってきてます。写真L/O使ったカットもあったような。ちーちゃんの告白シーンなんかも、笹塚駅からちょっと歩いて住宅街に入ったところにあるので、わかる人はわかるかも?あ、でも既に聖地巡礼マップとかあるか…。

笹塚駅の恵美と鈴乃の口論シーン、後ろでうさぎが餅つきしてるカットがあったかと思いますが、あれは一応、“お付き合い”と“(餅を)つきあっている”というつきあいをかけているらしいです。言われなきゃわからんかった(笑)

カフェのシーンは、某新宿のスタバですね。外観は参考にして店内は適当です。見取り図とか作ったなー。恵美がコーヒーの蓋を開けて、ガムシロップを開けて、うっかりこぼしてしまい、ナプキンでトレーを拭くのです。これだけで細かい芝居が面倒くさいのですが、鈴乃がそれを真似するんですよね。しかも、わざとガムシロップをこぼして軽くガッツポーズをするというオマケ付き。ぐえー!って感じのコンテです(笑)。ここは河田さんが丁寧に原画をしてくださいました。有り難いです。

で、猿江が登場。この猿江というキャラが個人的にすごい思い入れがあるんですが、またどこかで書けるといいなー。

 

そんな感じですかね。案外、覚えてるもんですね。

はたらく魔王さま!』は大変でしたけど、本当に楽しい作品でしたね。自分が回していた話数なのに、改めて色ついたのを繋げて見ると「あ、面白いなー」って思ったりしたものです。今でもたまに見直すくらいですし。

素敵な作品に携われたことに感謝感謝です。アニメって楽しい!と思わせてくれる作品でした。まぁ、大変でしたけどね…(しみじみ

 

また気が向いたら何か書きますー。